2012年5月2日水曜日

iPadアプリ「お江戸タイムトラベル」。時空を超えた散歩を満喫。

お江戸タイムトラベル
Time Travel to Edo !   
開発: HANDS’ MEMORY  販売: Arigillis Inc.
¥850(2012.5.2現在) カテゴリ: ブック

 iPadアプリ「お江戸タイムトラベル」。これは『熈代勝覧(きだいしょうらん)』という、約200年前の日本で描かれた絵巻を、存分に味わう為のアプリだ。『熈代勝覧(きだいしょうらん)』とは「輝ける太平の世の優れた景観」という意味らしい。随分と自信に溢れて、ゴージャスなタイトルの絵巻である。このアプリでは、全長12mの絵巻を途切れる事なくスクロール出来る。江戸に関する様々な豆知識も楽しむ事が出来る。

 20世紀末、ドイツの首都ベルリンで、この絵巻が発見された。約200年前の江戸・日本橋の姿を細部に至るまで描いている。作者や制作意図は分かっていないらしい。この絵巻に描かれているのは、江戸の日常風景である。当時の日本橋に軒を連ねていた89軒の商店と江戸随一の魚河岸の賑わい。武士、商人、職人、行商人、お茶屋の看板娘、寺子屋に向かう子供等、総勢1,671人が描き込まれている。さらに犬、牛、馬、猿、鷹まで細かく描き込まれた。このアプリの機能により、人々には吹き出しでセリフが用意されている。この町人の会話が、実に愉快だ。ただ単に絵画鑑賞的視点から美術品を見て楽しむのではない。描かれている内容を考えながら鑑賞するので、さながら江戸の旅行ガイドブックを読んでいるかのようだ。このアプリを楽しんでいると、実に様々な江戸の風景と人々に出会う。江戸には多様な職業があった事も分かる。


  この絵巻には89軒の商店が描かれているが、当時の流れをくむ店は、現在も幾つか日本橋に残っている。呉服屋と両替商を営んでいた江戸随一の大店・“三井越後屋”。これは現在の三越と三井グループのもとになった商店である。刃物を扱う“木屋”も、当時の流れをくむ店だ。三井本館と三越百貨店本館は、現在も江戸時代と同じ場所にある。“日本橋”も同じ場所にかかっている。このアプリとiPadを手にして、現在の日本橋を歩くと実に楽しい。時空を超えた散歩である。江戸と東京、両方を散歩する事になるのだ。江戸時代の名残が感じられる場所。江戸時代とは変化してしまった場所。両方を実際に体感する事が出来る。

 さあ、iPadを持って街に出よう。このアプリを動かしながら、日本橋を渡ってみよう。現場に行ったら、iPadの内蔵カメラで写真を撮り記録を残す。写真編集アプリ「iPhoto」で色調補正をしたら、Webアルバムにまとめて作品にしよう。それをFacebookやGoogle+を使用して全世界に公開。イタリアやアメリカから、写真について感想のコメントが届くかもしれない。日本橋を歩いて新たな疑問が湧いたら、その場でインターネットにアクセス。知りたい情報を、その場で手に入れる。iPadとアプリがあれば、それら全てを、街角で気軽に楽しむ事が出来る。iPadは、自分好みのアプリを取り揃えて自分流に楽しむ道具だ。新しいアプリに出会う度に、新しいiPad体験を味わう事になる。

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