2013年3月21日木曜日

「アップル神話」は崩壊したのか?

 アップルの株価下落が話題となった。ピーク時に700ドルを超えた株価は約4割も下がり、株式時価総額・世界1位の座をエクソンモービルに明け渡したのだ。アップルの成長性に疑問符が付き、市場の評価はガタ落ちだ。およそ1年前には「1年以内に1000ドルを突破する」と主張するアナリストがいた。何とも予想とかけ離れた状況になったものだ。ただし私には、株式市場のアップルに対する評価は加熱し過ぎていたように思える。異常なまでの熱狂ぶりだったのではないか。

 アップルに対する市場の評価が落ちている最大の理由は「成長のシナリオ」が見えないという事だろう。“iPhone5” や “iPad mini” など既存商品の発展形はあるものの、これまで見たこともない全く新しいアイテムが、ここしばらく発売されていない。競合他社は、アップルが切り開いた新しいジャンルで、より高性能な商品をより低価格で発売すれば高い評価を得るのかもしれない。だがアップルは、そういう訳にはいかない。iPhoneやiPadというハードが如何に高度化し続けても、世界はガッカリし続けるだろう。アップルが、あっと驚く新しい “体験” を提供してくれることを、世界は望んでいる。その “体験” は、全く新しいデバイスかもしれないし、iPhoneやiPadを内包した画期的な新サービス・システムかもしれない。アップルは、画期的なイノベーションを引き起こし、全く新しい体験価値を創造する事を常に求められている。市場が期待しているのは、単に売上高や利益率がアップする事ではない。考えてみれば、これは相当にレベルの高い要求だ。アップルだからこそ、このような結果を期待されてしまうのだろう。アップルは、これまでに次々と革新的な商品を世に送り出し、人々のライフスタイルを何度も何度も変えて来た。

  アップルが次に発売するアイテムとして噂されているのは、アップル流の薄型テレビである『iTV』、アップル流のカーナビ『iNavi ( ? )』。そしてアップル流の腕時計『 iWatch』など様々なものがある。その他にも、『iCamera』、『iGlasses』、『iCar』などが登場する可能性もある。アップルがiPhoneで電話を再発明したように、腕時計やカーナビ、そして車を再発明したら、一体どんなものが出来上がるのだろう。きっと根本的な概念から再構築し、ライフスタイルの変革を目指すのだろう。

 直近で登場しそうなのは『iTV』である。 もしかしたら今年後半にも登場するかもしれない。「アップル神話」の崩壊が始まっているのかどうか…  それは、そう遠くない時期に自ずと見えて来るのかもしれない。アップルがこれまで通り、革新的な商品を世に送り出し続けるのは相当に難しいだろう。しかしアップルのように “変な” 企業が消え去ってしまうのも、チョッと寂しいものだ。アップルは、誰もが見放したかのように思えた “タブレット端末” に手を出し、活気のある市場へと蘇らせてしまう企業だ。トム・ソーヤーやハックルベリーのように、冒険好きな奴もいないと…  世の中は楽しくない。

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